豆知識

みなさんは滋賀県大津市について、どんなことを知っていますか? 残念ながら、
全国的には場所すらよく分からないという方が多いのではないでしょう か?
大津市は日本一の琵琶湖の南に位置し京都・奈良・鎌倉などとならんで古都指定 を受けた街で、かつては都が置かれ、源氏物語を生み、東海道最大の宿場町でした。
一見地味でも、実は自然と歴史と文化とまちが交じり合った奥行きのある”大津市”。まだまだ知られていないその魅力を、スタッフが発掘してご紹介していきま す。
(メルマガ”e湖都通信”に連載中の”大津豆知識”を再編集し掲載しています。)
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大津市

『伝統工芸 大津の組紐』

現在は、帯締めや羽織紐など、和装小物として使用されることが多い伝統工芸品“組紐(くみひも)”。

古くは仏具や巻物の飾り紐として使われ、後に武士の装束、特に刀の下げ緒などに多く用いられました。

数々の細い絹糸や錦糸を組み上げて作られ、糸を撚って作る「撚り紐」や、1本の糸を編んで作る「編み紐」に比べてはるかに丈夫で、組み上げることで生まれる美しい模様が特徴です。

大津市・逢坂には、この組紐の素材に“草木染め”を取り入れ、140年余り伝統技術を守り続ける「藤三郎紐」というお店があります。

創業は慶応三年(1867年)。
初代が、近江逢坂山の関所跡付近に米屋を開き、その妻が副職として印籠の紐など、組紐の雑貨を置いたのが始まりです。
関所に近かったこともあり、京へ向かう武士が多く訪れ、武具を修理していったそうです。

大正に入った頃には、帯締め・羽織紐の需要が増え、お店は組紐作りに専念するようになり、後に、全国的にも珍しい紅花やウコンなど自然素材を用いた“草木染め”を研究・導入したのが、三代目藤三郎。

草木染め手組み組紐の技術保持者として、大津市の無形文化財に指定されました。

「藤三郎紐」の一番の特徴は、草木染めによる淡く渋い、繊細な色合いです。
草木の染料から摘出された液には、化学染料とは異なり多くの不純物が含まれており、これが深みのある独特な色を生み出すといわれています。

組紐を作る組台には何種類かありますが、主に使われているのは、歯車がかみ合う音から「ガチャ台」とも呼ばれる「内記台(ないきだい)」。

一時期は多く使われていた組台ですが、現在では大変珍しくなり、全国でも藤三郎紐にしか存在しないそうです。

帯締めなどを結びやすくする為に適度な伸縮性を出し、固過ぎず柔らか過ぎず、紐の固さを調整する技術は台を操る人の力の入れ具合によるもので、機械で真似できるものではありません。

絹糸を染め上げ、よりあわせて長さをそろえ、組台を使って組み、しわをのばす。

約1000本の錦糸と14もの工程を経てようやく1本の紐が完成します。

「藤三郎紐」は、滋賀県の指定伝統工芸品でもあり、現在は四代目の太田耕吉さんが五代目となる息子さんと共にその技術を受け継がれています。

逢坂のお店に行くと、組紐および草木染めの体験、また、珍しい内記台をはじめとする組台の見学もできますので、皆さんぜひ一度、大津発祥の伝統技術を体感しに足を運んでみて下さい。

(有)藤三郎紐ホームページ
 住所:滋賀県大津市逢坂1丁目25-11
 電話:077-522-4065


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伝統工芸 大津の組紐「藤三郎紐」

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